ぎんざ姿のお料理

夏ふぐ 夜話 1

    夏ふぐ 夜話  と題しまして、ほぼ、声だけの 動画を、作ってみました。

    以下、youtubeでお話しました、そのお話の文章でございます。

    お休み前にでも、お耳を貸して頂きたいようなお話です。

    まずは、銀座の街を抜けて、当店へ。夏ふぐ夜話 その1 でございます。

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    そうまだポピュラーではない、夏のふぐのお話を、

    不肖、私めがお伝えします。

    お休み前にお聞きの皆様は、

    どうぞ、目覚まし時計をセットして、お聞きいただければ幸いです。

    あ、ふぐという食材に関しての、お話ですから、

    なまじ、私のお話で、

    お腹がすいてしまって、眠れない。。という事もあるかもしれません。

    そんな時にはー、

    何卒お許しいただくとしまして、

    当店の、いつでもふぐの味を楽しめる、「福ぽん酢」など、

    お夜食にご用意いただきながら、お話を始めさせてくださいませ。

    今回の動画で 私がお話しておりますお話は、

    概要欄に、参照先をコピーしてございます。

    お忘れ頂いても、まったく結構なお話をして参るのですが、

    なんだったっけか、と、どうにも、思い出しての際には、

    どうぞご参照いただけたら、と存じます。

    夜話、と申しながら、私一人でお話する動画。

    たとえば、夏ふぐは初めて、という3人連れに、

    体験して頂くストーリーを考えました。

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    とある街角。

    店へ向かう車から、食通らしき二人連れ。

    「今日は何を食べさせてくれるんだい?」

    「それがね、ふぐ、なんだそうだ。」

    「へぇー。珍しい季節に、食べるもんだなー

    今日もこんなに汗かいた後で、お鍋囲んで、また汗、かくのかい?」

    「そんな皮肉を言っちゃいけないやぁ。

    せっかく御馳走してくれるんだ、っていうんだから。」

    「だってあんた、先日のはふぐは、まだ寒かったけど、

    その次は肉、で、また 今日がふぐ、っていうのはねぇ。

    もう、6月だよ?

    やっぱり、なんだ、この、腹を用意するこちらの、気分がくるっちまう。」

    「そいつァーちがいねェ。」

    そんな話をするうちに、車は角を曲がり、

    店にたどり着いたところで、招待したほうの客が迎える。

    気の置けない、奢って、奢られて、の仲、

    今夜は、相手が奢る番、とばかりに、

    辿り着いた側は、いつもの、心にもないあいさつの代わりに

    「イヤーいつもごちそうになって。」

    そう言いながら靴を脱ぐ。

    そんな感じなものだから、

    先客の方も、そんな言葉を、まるで気にもせず、

    「あーあー、こっちだ、こっちの方へね、席を用意してあるから。

    今日はとびっきり、珍しいものをね、私も頼んだものでね。」

    部屋へ促されて、

    「なんですかー、今日は、季節外れの美味い物がある、っていうお話で、

    あ、こりゃいけねえ、つい口が滑っちまってェ。」

    「ま、良いじゃぁないか、冬のように、お鍋で熱々に、汗かくわけでもなさそうだし。」
    そんな、口先のとがった話を交わしているところへ、店の亭主がやってきて

    「ようこそいらっしゃいました。

    本日は、夏のふぐを、冬と同じメニューでお楽しみ頂きます」

    思ってもみなかった、その口上に、一同

    「えええ~~?」

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    我慢比べをするわけでも、ございませんが、

    ふぐという魚、

    夏はね、居るはずはない、あっても使わない。

    そう言われていた頃が、ずいぶんございます。

    たしかに。なるほど、であります。。

    秋の彼岸から、春の彼岸まで。

    その時期しか営業しない、というのが「売り」の、ふぐの名店が、数多くございますし、
    夏にふぐを食べる、なんて、

    冬にかき氷を頂くようなものだ、なんておっしゃる方も、多いと存じます。

    見た事のない、聞いたことのないお料理のお話をされると、

    誰しもが、最初は「何だそりゃ~?」と思われます。

    それでも、方々で、似たようなお話を耳にするうちに、

    なんだか、興味が湧いてくるのが、不思議なものです。

    一方で、

    「何だそりゃ~?」とおっしゃっている方に、

    「私の話を聞いてください」

    って、口角つば寄せて、お話をしてもね、

    聞いてほしい先様は、たいていは折悪しく、良い気分で、

    これから眠ろうとしていたところ、だったりします。

    せっかくの眠気を覚ますと、怒られてしまいます。

    世間様の御心の扉を、正面からノックしますのは、

    エネルギーのある若い方たちや、

    普段からマイクを持ちなれていらっしゃるご職業の方に、

    お任せするとしまして。

    それでも、お耳に入れて差し上げたい、夏のふぐのお話。

    夜話ですし、実際にご体験なさるかどうか、は、ひとまず横に 置いて頂いて、

    最近、急に流行りだしました、

    風流を愛する方たちの愛称でございます、

    「好き者」の話題の一つにも、

    思っていただいて、結構でございます。

    時代とともに、好まれるお料理も変わります。

    先ほどお話に出しました、かき氷ですが、

    一年を通して、かき氷が人気のお店も、増えてまいりました。

    ま、

    この私が、こうしてお話をしているくらいですから、

    夏ふぐは、

    一軒の店が、店の命運を掛けて扱う程度の漁が、できるくらいには、

    結論としましては、ある、いや、あったわけで。。

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    座敷へ案内されて、最初の一杯を飲んだ、先ほどの3人。

    いまさら、そうですか、と、帰るわけにもいかず、かと言って、

    冬温まった鍋料理が、たくさん汗をかいた、今日の晩餐に、これから出てくる、

    そういう気持ちの、持ちようもわからず、モヤモヤしながら

    突き出しの毛がに に 手を付ける

    「あー。毛がにはね、旬は実は夏だ、っていうじゃないか」

    「うん。うん。」

    「何だよ、なんか続けてくれよ」

    「うん。」

    カニを見ると、黙る。

    でも、今日はお互い、黙っていられない、何かがあって。

    「今日は暑かったよなー、暑かった、うん」

    「でもこれ、旨いな。。」

    「んー。」

    突き出しが終わると、いよいよ、ふぐ刺しが出てくる。

    「ふぐさしでございます」

    と、平皿いっぱいの、刺身が出される。

    どういうわけか、こういう時に、出てくる言葉は、決まっていて。

    「あー。ふぐさしだ。」

    「うん、ふぐさしだ。」

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