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ふぐのおいしさは、召し上がり始めて5分で、幸せがやってくる味。その2

銀座の個室で味わうふぐ料理 特大天然とらふぐのひれ酒

ふぐの旨みを邪魔するのは、ふぐ独特のにおい

 海外では、最近10年余りで、日本のポン酢が広く知られるようになって、 急にファンの方が増えましたが、 それ以前はどの国でも、ふぐは、「とてもまずい魚」のワーストいくつか、に、入れられておりました。 確かに、それも大変、納得できるものでございます。

ふぐ

 ぽん酢をご存知の、日本の方には、意外かもしれませんが、 ふぐはもともと、独特のにおいと粘液が強い魚です。 このふぐの強いにおいは、日本以外の国々で、ふぐ食から人々を遠ざけてきた、 ふぐの旨みを邪魔する厄介者でありまして。 例えば、ふぐ皮にお醤油をかけただけでは、ふぐ本来のにおいが強くて、食用には少々不向きです。

 この傾向は、「良質」と言われるふぐになるほど強く、最高品質である良型天然とらふぐの皮などは、 ぽん酢なしではそれこそ、「食べられたものではない」くらいに、生臭く感じます。 それほどに、ポン酢なしのふぐは、ツラい食べ物になってしまうのです。

手絞りされる、大分県臼杵市産のかぼす

ポン酢は、まさにふぐのために生まれた

 当店では、ポン酢の原料に、大分県臼杵市の契約農家様から、カボスを仕入れております。 他にポン酢の材料と言えば、ユズ、ダイダイ、スダチなどが思い浮かびます。 それらに共通するのは、とにかく、酸っぱい事。 絞り汁をそのまま飲んだら、お口がキュッと絞られて、しばらく治らないくらいですね。

  もう酸っぱくて、酸っぱくて、それで、市販のポン酢しょうゆは、たいてい、甘みを足したり、 鰹だしを加えたりして、酸味を少し、抑えてあります。 そんなに酸っぱいカボスに、お醤油をまぜて、あの生臭かったふぐを入れたら・・・?

  本当に、いったいどなたが考え付いたのでしょう。

  ふぐの粘液はコラーゲンとなって、ポン酢の酸味を和らげ、 ポン酢の香りはふぐ身のにおいを抑えて、ふぐのブイヨンの旨みを引き出す。 まさに、それが幸せでなくて、何が幸せになるのか、 調理人が喜ぶ言葉に、「食材同士が手を結ぶ」というのがございますが、 手を結んだ食材の、美味しさの嬉しいドミノが、お口の中でどんどん起きて、 ふぐがおいしい、ポン酢がおいしい、一緒のお野菜もおいしい、みんな美味しい。 ご宴席も、どんどんドミノに包まれて、お客様のお顔が、どんどん、笑顔に変わってゆく。

  これが、当店のご宴席でよく起きる、「ふぐマジック」です。

  まさに、「鳥が選んだ枝 枝が待っていた鳥(河井寛次郎)」ならぬ、 ふぐのためのぽん酢、ぽん酢が活きるふぐ、でございます。

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