人の免許 のほかに、東京都では「認証書」という、いわば 場所の免許 があるのを、ご存じですか?
人の免許は、昨年改正されました、ふぐ取扱者の免許です。
その他に、時には、ふぐ免許よりも、もっと厳しい、場所の免許がございます。
テレビ局のスタジオでは、ふぐがさばけない理由とかー、
そんなお話を、下の動画でしております。
ふぐの毒 夜話 と題しまして、ぎんざ姿 オーナーが語る、ほぼ、声だけの 動画 をアップしました。
以下、youtubeでお話しました、そのお話の その5 の、本文でございます。
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東京都のふぐ調理師免許(人の免許)と、認証書(場所の免許)
Fugu person’s license and venue’s license (Tokyo)
遅ればせながら、と、申しますか、
やっと、冒頭でお話しました、
ふぐを捌く光景をカメラに収められる店がすくない、というお話をさせて頂きます。
東京都のふぐ調理に関して、近年条例が改正されました。
「磨きふぐ」と一般に呼ばれる、除毒をされたふぐなら、
ふぐ調理師免許を持たない者でも、講習を受けることで、
調理して販売することができるようになりました。
一方で、
東京都のふぐ調理師免許制度は、過去約60年の間、厳しい規定が課されてきました。
受験資格に、
「過去にふぐ中毒事件を起こしたことがない者」という規定がございました。
つまり、一度でも、ふぐ毒の中毒事件を起こした方は、
東京都のふぐ調理師免許は手にすることができませんでした。
他に、3年間、東京都のふぐ調理師免許の許でふぐ調理を実践する必要がありました。
試験は、学科、判別、実技。
実技は、20分で除毒・調理のすべてを行う、大変ハードな内容でした。
令和5年度より、ふぐをさばく資格試験と、その受験資格が大幅に変更されました
でもこれは、
東京都で、ふぐを店内で扱うために必要な2つの免許のうちのひとつ、
「人の免許」です。
実は、人の免許より、時にはもっと厳しい、
「場所の免許」とも言えるものが、東京都にはございまして。
無事合格して、免許を持ったら、
次は調理する場所を保健所に認めてもらわなければなりません。
専用調理師(ふぐ調理師)と、専用調理台、専用包丁、専用冷蔵庫があるか、
除去された内臓を収める設備(現在はほとんど、冷蔵庫や冷凍庫)に、施錠できるか、
保健衛生は高水準に保たれているか、など、
厳しいチェック項目をパスして、
「認証書」という、いわば、「場所の免許」をもらいます。
当店は、ふぐをさばく調理師、そして、さばく施設としての認証書を受けたことで、
動画のように、活きたふぐを店内でさばくことができる、
銀座でも少ない施設の一つとして運営を許されている店舗でございます。
そして、晴れて捌くことができたうえで、
美味しくさばくノウハウが、また別にございます。
活きているふぐの除毒をするだけとは、全く別の技術で、
ここから先は、トップシークレットです。
すごいでしょー、これだけ、いっぱい、いっぱい、ございます。
ところで。
私がお話しました、2つの免許のお話は、ご存じの方の方が、当然少ないので、
こんな事もございましたよ、というお話をさせてください。
これまでも何度か、東京のテレビ局の方から、
「スタジオで調理師がふぐをさばきたいのだが、活きたふぐを分けてくれないか」
というご相談をされたことがございます。
調理師、ならばねー、私も調理師なんですが、出られないのー?、
と、お話を混ぜ返すのは、やめておいて、
前述の通り、
ご本人がふぐ免許証をお持ちでも、場所の免許である「認証書」がないと、
その場所でふぐをさばく事は、東京都では許されていません。
スタジオでね、認証書、ないですし。
ご相談下さったテレビ局の方は、当然、調理師ではございませんので、
認証書の事など、知る由もなく。
そこで、
ご相談下さったテレビ局の方に、このことを丁重にご説明の上、
私がお断りする羽目になります。
いや~、これもね、大変なんですよ。
お電話かけていらした方も、上司命令で、絶対にもらってくるつもりですし、
ぢゃ、私に、スタジオに一緒に行って、さばいてくれ、とか、
「そこをなんとかー」、とか、言われますからねー。
なんとか、って、
同じ人間でも、場所が変わったらね、できないものを、
「ここだけの話」って、オンエアされちゃったらねー、笑えません(笑)。
そんなこんなで、
今も東京では、スタジオでふぐをさばく光景が、オンエアされていない、
というわけでございます。
ふぐはキモを食べないと、男じゃない、などとも言われることがございます。
ふぐのキモが名物のお料理店様、ありますし、
今もふぐのキモ食を肯定していらっしゃる県も、確かにございます。
でも、実際に、
ふぐの肝が大好き、とおっしゃる方、何度もふぐに当たった、とおっしゃる方も、
当店をご利用頂いております。
それで、そこまで言っておきながら、本当か?と思われるかもしれませんが、
私は今まで、一度もふぐの肝をテーブルに供したことはございません。
私のスタンスですが、
ふぐを食べるかどうかで、男を上げるのなら、男にならないでも宜しいから、
肝を除いても、十分美味しい魚です、
というあたりで、日ごろお客様にご愛顧を頂いておりますので、
本日のお話も、そんな風に思っていただけたら、と願いまして、
お開きにさせて頂きたいと存じます。
本日は、ご視聴、ありがとうございました。